工程管理システムとは、主に製造業における製造工程のプロセスを一元管理するシステムのことです。
「工程管理システムに興味があるけど、主に大規模工場向けなのでは?」
「工程管理システムの導入費用・ランニングコストが高くて割に合わない」
といったように工程管理システムの導入を迷われていませんか。
近年では中小企業向けの工程管理システムも開発されており、低価格で導入できるシステムもあります。
本記事では、仕事をかしこく・たのしくするビジネスメディアを運営する「Smarf」が、製造業に必要不可欠な「工程管理システム」について、
- 工程管理システム導入時のポイント
- おすすめの工程管理システム比較5選
を解説していきます。
製造現場の工程管理に課題をお持ちの中小企業の経営者様や、製造部門の責任者様はぜひ最後までご覧ください。
工程管理システムとは?
そもそも工程管理の目的とは、製造現場で生産される製品の数量・品質・納期などを守り、効率的に製造することです。
製造現場においては月間の製造数は一定ではありません。
常に変動する生産数に合わせて、製造工程の段取りや人員配置を最適化することが重要です。
例えば1000個の製造目標があるとしたら、それに対して適切な人員で計画通りに作業を進めていくかを検討しなければなりません。
余分に製造してしまうと余剰在庫が発生してしまい、その分のコストが増えてしまいますよね。
工程の段取りや人員稼働状況を可視化し、調整を繰り返すことで、製品の品質を維持生産や活動時間の短縮化が可能です。
生産管理システムとの違い
工程管理システムと似ているものに、生産管理システムがあります。
どちらも製造ラインを管理するシステムであるという点は共通しているため、役割を混同してしまう方も多いかもしれません。
工程管理と生産管理の違いをひとことで説明すると「管理する範囲の違い」となります。
- 工程管理の範囲・・・製造現場における製造工程のみを管理。各工程が計画通りに進んでいるか、時間や数量など決められた通りに生産されているかを管理する
- 生産管理の範囲・・・販売計画から原材料の仕入れ、製品製造・出荷、売上管理、在庫管理にいたるまでの、生産活動全体の流れを管理する
つまり工程管理は、より現場に近い立場・視点で生産活動を管理するシステムのことです。
生産管理システムについて詳しく知りたい方は「生産管理システムとは?導入メリットから注意点まで解説!」の記事もご覧ください。
工程管理システムの選び方
本項では、工程管理システム導入を検討する際に参考にしていただきたい、工程管理システムの選び方を解説します。
工程管理システムには数多くのシステムがあります。業界・業種・規模、生産活動上の課題によって、自社に合う工程監視システムは変わってきます。
続いて紹介するポイントは、ぜひ押さえるようにしましょう。
自社に必要な機能が備わっているか確認する
工程管理システムには様々な機能が備わっています。その中で自社にとって必要な機能が備わっているシステムこそが、マッチする可能性が高いと言えます。
しかし「そもそも自社に必要な機能がよくわらかない」と感じる方もいるでしょう。
その場合は2つのステップを踏みます。
- 候補となる工程管理システムをExcelなどで一覧化する。
各システムのすべての機能を洗い出してみましょう。抜け漏れなくすべて洗い出すことで、システムごとの特長がわかるようになります。 - 一覧化された中で機能の優先順位を決める。
まずは今すぐないと困る機能から優先し、今すぐなくてもとりあえずは大丈夫といった機能は優先順位を下げましょう。
以上の2ステップで自社にとって必要な機能がわかるようになります。
本導入までにどれくらい期間を要するか確認する
契約締結してから、実際に製造現場で工程管理システムが稼働するまで、どれくらいの期間を要するか確認します。
システムによっては、初期構築・初期設定に時間が掛かり、本稼働まで3ヶ月〜半年程度掛かる場合もあります。
機能が限定された工程管理システムやプランであれば、稼働までの時間を短縮することもできます。
ベンダーとの打ち合わせの際は、いつからの本稼働を目標としているか伝えておくことがおすすめです。
他のシステムと連携ができるか確認する
現在、他のシステムを利用している場合は連携ができるか確認しましょう。
例えば会計システムや、労務管理システムと連携させることで、売上管理や人員調整管理の効率化が可能です。
シームレスにデータの移管が可能なので、わざわざ入力し直す作業が不要になります。
規模・業種にマッチするか事例も含めて確認する
検討中の工程管理システムが自社の業種・規模、または事業上の課題に合っているか確認しましょう。
仮に機能的には大差がなかったとしても、ベンダー側によっては得意な業界が異なるはずです。
得意な業界が自社の業界と合っていれば、事例が豊富であったり、ベンダー担当者の経験・実績を元に一歩踏み込んだ提案も期待できます。
工程管理システムおすすめ5選
Smarfおすすめの工程管理システムを、特長・費用・実際に利用された企業の声を含めて、5つ紹介します。
気になったシステムがあれば、各システムの公式サイトから資料請求や問い合わせをしてみてください。
鉄人くん(株式会社ビジネス・インフォメーション・テクノロジー)

概要
鉄人くんは、生産管理・受注管理など、受発注にかかわる全ての処理を一元管理できる、クラウド型生産・販売管理システムです。
スマホやタブレットなどあらゆるデバイスに対応しているので、外出先や出張中でもいつでもどこでも確認できます。
さらに面倒なサーバー構築は一切不要。申込み・ライセンス付与されたらすぐに使い始めることが可能です。
特徴
- 国内中小企業に特化した受発注管理システム。生産管理・受発注管理などの、すべての社内管理業務を一元管理が可能
- 多忙な経営者でも、いつでもどこでも現場の進捗状況を確認可能。当月の売上の見立てや、受注状況の確認も容易
- システム化により人的ミスの抑制を実現。シンプルな管理画面は、直感的に操作できるので、ITツールが苦手な方でも使いやすい
導入時の注意点
データ移動の自動連携に対応していないため手動になります
無料プランの有無
要問い合わせ
費用
要見積もり
導入企業の声
以前は自分(社長)だけが状況を把握していれば良いと思っており、自分がいなければ社員が動けない状況でした。『鉄人くん』導入後は、知りたい情報が各自で確認でき、社員一人一人が仕事に対する責任を持ち、考えて動けるようになりました。自分の手間が減り、1日3〜4時間は時間を作れるようになりました。
引用:鉄人くん公式サイト/導入事例
システム導入には後ろ向きだった私が『鉄人くん』導入を決めたのは、画面の見やすい・入力操作が簡単・使いやすいという3つのポイントです。アナログで出来ていることを、お金をかけてシステムで行うことに当初は抵抗がありましたが、いざ導入してみると時間が大幅に削減出来ました。また、見積り・問い合わせの回答速度がUPし、お客様からも喜びの声を頂けるようになりました。
引用:鉄人くん公式サイト/導入事例
TimeTrackerNX(株式会社デンソークリエイト)

概要
TimeTrackerNX(タイムトラッカー)は、工数管理・プロジェクト管理や、デスクワーク業務を効率化する工程管理システムです。
元々、デンソークリエイトの業務改善を目的に開発されたシステムであるため、業務の改善を目的としています。
改善の第一歩としては、日々の正確な工数計測が欠かせません。TimeTrackerNXは、わずか1分でできる工数入力機能により、全員の正しい工数入力を支援します。
特徴
- 既存Excelデータの移行・連携が容易。今までのやり方を変えることなく、すぐに運用を開始できる
- 中小企業から大手上場企業まで、国内約75,000社以上の導入実績。事例も豊富なので、自社の業界・規模に合った運用が可能
- 30日間の体験版、90日間の評価版があるので、実際に触れてみることで操作性を体感できる。製品紹介セミナーも随時開催
導入時の注意点
評価版を導入する際は、自社でサーバーの構築が必要です。
無料プランの有無
環境構築 | 費用 | 期間 | 機能制約 | |
---|---|---|---|---|
評価版 | 自社で構築 | サーバー費用 | 90日 | 無し |
体験版 | 不要 | 無償 | 30日 | 有り |
費用
■永続ライセンス
初回購入時にライセンス費用を一括支払い
ライセンス | Standard Edition | Professional Edition |
---|---|---|
5ライセンスパック | 198,000円 | 396,000円 |
10ライセンスパック | 330,000円 | 660,000円 |
50ライセンスパック | 1,320,000円 | 2,640,000円 |
100ライセンスパック | 2,200,000円 | 4,400,000円 |
■年間ライセンス
1年単位での契約形態
ライセンス | Standard Edition | Professional Edition |
---|---|---|
5ライセンスパック | 85,800円/年額 | 171,600円/年額 |
10ライセンスパック | 145,200円/年額 | 290,400円/年額 |
50ライセンスパック | 561,000円/年額 | 1,122,000円/年額 |
100ライセンスパック | 924,000円/年額 | 1,848,000円/年額 |
導入企業の声
狭い範囲からでも確実に継続して工数管理を実施することが重要だと考えています。また、工数入力担当者にも成果を広く展開することで、全員参加型の強い組織になったと満足しています。実績データがある程度蓄積されると新たに気づきも生まれ、業務改善に終わりがないことに気づかされるツールです。
引用:TimeTrackerNX公式サイト/導入事例
ツールをTimeTrackerに一元化したことにより、リソースの負荷や稼働状況をリアルタイムに把握し、改善することが可能になりました。また、分析ツールが増えてきたことで、全体を俯瞰した上で細部の分析へとブレイクダウンすることも容易になったと思います。
引用:TimeTrackerNX公式サイト/導入事例
Seiryu(株式会社テクノア)

概要
Seiryu(セイリュウ)は、多品種少量生産の製造現場に特化した工程管理システムです。
中小製造業の現場を「見える化」「最適化」「整流化」する機能が備わっていることが特長で、様々な製造現場にマッチします。
Seiryuの「自動スケジューリング機能」は、納期遅れや設備の負荷オーバーを見える化・再計画を自動化。
それにより業務の省力化とボトルネックの解消が可能です。
さらに、従来の経験と勘に頼っていた計画業務の属人化を防ぎ、工程管理を使うことにより計画業務の自動化を促進します。
特徴
- 多品種少量生産の製造現場に最適な生産計画の作成。機械、製品、得意先、納期などの項目を組み合わせることで複数の計画管理が可能
- 自動で機械の負荷状況を判断し、納期に間に合うように機械を自動で割り当てることが可能
- 販売管理システム・生産管理システムなど、既存システムとの連携が可能。マスタ登録等の入力作業の手間を省力化
導入時の注意点
オンプレミス版なので、導入にはある程度まとまったお金が必要です
無料プランの有無
無料セミナー随時開催
費用
導入費用250万円〜
※要見積もり
導入企業の声
生産スケジューラの導入により、生産計画業務の時間は、大幅に短縮されました。設備機械の負荷の確認だけでも、1日2時間を費やし、特急品や飛込み案件の調整により、業務が深夜まで及ぶこともありました。しかし、生産スケジューラの稼働後は、調整業務も短時間でできるようになり、ほぼ定時に業務を終えられるようになりました。もう以前には戻れないでしょう。
参照:Seiryu公式サイト/お客様の声
導入前は、生産計画の作成や調整が現場任せになっていたこともあり、納期遅延などの問題が起きた後でボトルネック工程を発見していました。生産スケジューラ稼動後は、生産管理部で事前に生産計画を立案し、あらかじめボトルネック工程を予測できるようになりました。そのため、スケジュール調整時にはボトルネック工程に注意することで事前に納期遅延などを回避できるようになりました。
参照:Seiryu公式サイト/お客様の声
KouTei STARTER(株式会社スノーピークビジネスソリューションズ)

概要
KouTei STARTER(コウテイスターター)は、バーコードとハンディターミナルを活用した工程管理システムです。
専用のバーコードハンディターミナルを活用して工程の開始・終了を取得し、手軽に生産工程の実績収集が可能。
特にシステムを使った工程管理がはじめてで「何から手を付けたらいいかわからない」といった製造現場の一歩目に最適なトライアルアプリケーションです。
特徴
- どこにどの機能があるかひと目でわかるインターフェースと、システムやパソコン操作が苦手な方でも安心の直感的な操作性
- 各メーカーのハンディターミナルアプリ開発に対応。第三者視点で自社に合うハンディターミナルや周辺機器の提案が可能
- 既存の指示書を活用して仕組みの構築が可能。さらに実績データを元にネック工程の特定や、リードの短縮化を実現可能
導入時の注意点
費用感が公式サイト上からわからないため見積もりが必要です
無料プランの有無
30日間無料トライアル有り
費用
要見積もり
Lychee Redmine(株式会社アジャイルウェア)

概要
Lychee Redmine(ライチレッドマイン)は、月額0円から始められるクラウド工程管理ツールです。
ガントチャートやカンバンによる進捗管理、工数管理、レポート抽出などの機能が豊富。
プロジェクトの規模を問わずかんたんに管理できるREDMINEの拡張機能です。
注釈:REDMINEとは・・・無料で使えるWebベースのOSSプロジェクト管理ツール。やるべき作業を記録・管理したり社内で情報共有が可能
特徴
- 慣れ親しんだExcel風のインターフェースなので使いやすい。ガントチャート、タスク管理、カンバンなどあらゆる形式でプロジェクトを管理
- オープンソースREDMINEの拡張機能なので、Lychee以外にも必要に応じて、様々な拡張機能と組み合わせて利用可能
- ユーザー10名までは無料で利用可能。基本的な機能はフリープランから完備。さらにやりたいことや必要機能に合わせてプラン変更も容易
導入時の注意点
単体としての利用ではなく、オープンソースのプロジェクト管理ソフトウェア「REDMINE」を導入することで、拡張プラグインとして利用となります
無料プランの有無
- 30日間無料お試しプランあり
- デモサイトあり
→デモサイトはこちら
費用
プラン | フリー | スタンダード | プレミアム | エンタープライズ |
---|---|---|---|---|
価格 | 0円 | 800円/ユーザー | 1200円/ユーザー | 要問い合わせ |
容量 | 2GB | 200GB | 1TB | 要問い合わせ |
ユーザー数 | 10名まで | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
導入企業の声
とにかく、全ての情報が反映されたガントチャートが必要で、Lycheeガントチャートで実現できました。慣れないPMOとして情報収集から始め、Lycheeガントチャートでその情報をババッ!と「見える化」してプロジェクトメンバーに見せた時に、「これはすごい!」と驚かれたのを覚えています。
引用:Lychee Redmineの公式サイト/導入事例
Redmine、Lychee Redmineを導入したことで10種類のエクセル管理ファイルをRedmineに集約することができました。管理ファイルを削減できましたし、Redmineにログインすればこれらの情報を全て確認できますので「見える化」が進みました。
引用:Lychee Redmineの公式サイト/導入事例
工程管理システムを一覧表で確認
サービス名(運営会社名) | 特長 | 費用 |
---|---|---|
鉄人くん (株式会社ビジネス・インフォメーション・テクノロジー) | ・国内中小企業に特化した受発注管理システム。生産管理・受発注管理などの、すべての社内管理業務を一元管理が可能 ・多忙な経営者でも、いつでもどこでも現場の進捗状況を確認可能。当月の売上の見立てや、受注状況の確認も容易 ・システム化により人的ミスの抑制を実現。シンプルな管理画面は、直感的に操作できるので、ITツールが苦手な方でも使いやすい | 要見積もり |
TimeTrackerNX (株式会社デンソークリエイト) | ・既存Excelデータの移行・連携が容易。今までのやり方を変えることなく、すぐに運用を開始できる ・中小企業から大手上場企業まで、国内約75,000社以上の導入実績。事例も豊富なので、自社の業界・規模に合った運用が可能 ・30日間の体験版、90日間の評価版があるので、実際に触れてみることで操作性を体感できる。製品紹介セミナーも随時開催 | ■永続ライセンス 5ライセンスパック〜100ライセンスパック: 198,000円〜2,200,000円 ■年間ライセンス 5ライセンスパック〜100ライセンスパック: 85,800円/年額〜924,000円/年額 |
Seiryu (株式会社テクノア) | ・多品種少量生産の製造現場に最適な生産計画の作成。機械、製品、得意先、納期などの項目を組み合わせることで複数の計画管理が可能 ・自動で機械の負荷状況を判断し、納期に間に合うように機械を自動で割り当てることが可能 ・販売管理システム・生産管理システムなど、既存システムとの連携が可能。マスタ登録等の入力作業の手間を省力化 | 250万円〜 |
KouTei STARTER (株式会社スノーピークビジネスソリューションズ) | ・どこにどの機能があるかひと目でわかるインターフェースと、システムやパソコン操作が苦手な方でも安心の直感的な操作性 ・各メーカーのハンディターミナルアプリ開発に対応。第三者視点で自社に合うハンディターミナルや周辺機器の提案が可能 ・既存の指示書を活用して仕組みの構築が可能。さらに実績データを元にネック工程の特定や、リードの短縮化を実現可能 | 要見積もり |
Lychee Redmine (株式会社アジャイルウェア) | ・Excel風のインターフェースなので使いやすい。ガントチャート、タスク管理、カンバンなどあらゆる形式でプロジェクトを管理 ・オープンソースREDMINEの拡張機能。Lychee以外にも必要に応じて、様々な拡張機能と組み合わせて利用可能 ・ユーザー10名までは無料。基本的な機能はフリープランから完備。さらにやりたいことや必要機能に合わせてプラン変更も容易 | ・フリー:0円 ・スタンダード:800円/ユーザー ・プレミアム:1200円/ユーザー ・エンタープライズ:要問い合わせ |
まとめ|工程管理システムを活用すれば作業効率アップが可能!
この記事では、製造業の生産性向上に役立つ「工程管理システム」について、導入する際のポイントから、おすすめの工程管理システムを紹介してきました。
工程管理システムを活用することで、
- 生産管理業務の省力化
- さまざまなデータの見える化
- ボトルネックの早期発見
といったメリットがあります。
今回は特に、中小企業の製造現場でも導入しやすいシステムを中心に解説してきました。
中でもクラウド型のシステムは、いつでもどこでも製造進捗を確認できるため、本部・現場・経営が一体感を持ち、今まで以上にスピード感を持った対応ができるようになります。
今や大量生産・大量消費の時代ではなくなったため、製造現場に求められるのは顧客のニーズにあった多品種少量生産です。
多品種少量生産は管理がしきれず割に合わないといった見方がありましたが、現在はITツールを活用することで柔軟な製造も可能です。
ぜひ各社の事例なども参考にしながら、自社に最適な工程管理システムの導入をご検討ください。