怒りが収まらないときの対処法10選-感情をコントロールする術

メンタル

「最近、イライラすることが多い」
「周囲に許せないことが多い」
「仕事をしていると頭にくることばかりだ」
こうしたことを訴えて、ストレス過剰になる人が増えています。

これは、怒りの感情をコントロールできていないことが原因。
「怒り」という感情は、「喜怒哀楽」という言葉が示すように人間がもつ感情として代表的なもののひとつであり、誰もが覚える自然な感情です。

通常、外部から受けた何らかの刺激に対して「怒り」の感情がわいても、行動に表すかどうかということは、思考が働いて抑制します。
もちろん行動に表すことによって、ストレスが軽減される、自分の意志が明確になるという利点もあるでしょう。

しかし、誰かを攻撃したり、自分の勝手な感情を他人にぶつけたりすれば、人間関係に問題が生じてしまい、最終的には自分が困ることになりますよね。
そしてまた湧いてくる怒りが収まらなければ、さらなるストレスを抱えることになって、眠れない、仕事が手につかないという窮地に陥り、最悪の場合には心も身体も病気を患うことになりかねません。

ここでは、怒りが収まらないときに感情をコントロールして、周囲に悪影響を与えるバイブレーションや自分が受けるダメージを減らす対処法を紹介します。
前段階として、怒りという感情を理解することも重要。
自分がイライラしてしまうしくみがわかれば、より客観的に対処することが可能になり、感情のコントロール方法を身につけやすくなるからです。

怒りの感情を理解する

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「怒り」は誰もがもつ自然な感情ですから、なくすことはできません。
もともとは、動物が生命の危険から自分を守るための機能だと考えられています。

野生の世界では外敵と遭遇したとき、逃げるか闘うかという素早い判断をして行動に移す必要があり、心拍や呼吸を早めて筋肉を緊張させ、臨戦態勢をとります。
この原動力となるのが怒りの感情ですから、怒りは動物が生き延びるために必要な機能だといえますよね。

さらに人間は、身体が危険にさらされたときだけでなく、心が危険にさらされたときにも怒りの感情を発生させます。
自分の心を傷つけたり、否定したりするものから自分を守ろうとするのです。

ですから、怒りが収まらないという状態は、自分を守り続けている状態だということを理解しておきましょう。

怒りは期待や願望の裏返し

人間は、どのようなときに怒りの感情を発生させて自分を守るのでしょう。
心や身体の危険を感じたときとは、日常生活で考えてみると、自分の期待や願望が裏切られたときです。

「こうなるはずだった」「こうなってほしかった」という気持ちが、「なぜこうならなかったのだ」「なぜ思い通りにならないのだ」という怒りへと結びついていくのです。

「不安の裏には必ず願望がある」といわれますが、怒りも同じ。
思い通りにならなかったり、予想と違う結果が出たりしたときに、そのショックや自分に訪れるであろう危機から自分を守ろうとして臨戦態勢をとっているわけです。

ストレスを引き起こす怒りの感情

ストレスとは、外部から五感で受けた刺激に対してマイナスの感情が発生したときに、脳が自分を守ろうとする生体反応。

心拍や呼吸を早めて酸素を多く体内に取り込み、ストレスホルモンと呼ばれる物質を分泌させて緊張状態をつくり、臨戦態勢をとることになるので、この状態が続くと疲労します。
心身に負荷がかかった状態を続けるのですから、いろいろな病気を引き起こしてしまうことも容易に想像できますよね。

ストレスが多い状態になると些細なことで腹が立ちますから、怒りはスパイラルを起こしやすいのです。
怒りは、「辛い」「苦しい」「哀しい」などストレスの要因となるマイナス感情のひとつ。
感情をコントロールして怒りを収めるという行為は、セルフストレスケアでもあるということですね。

原因は思い込みや完璧主義

そもそも期待や願望を抱かなければ、不安も怒りも発生しません。
ところが、心を満たしたいという気持ちは誰にでもあるもので、生きがいや成長にもつながるものですから、期待や願望をまったくもたない生き方はできないでしょう。

しかし、怒りの感情に結びつく期待や願望を減らすことは可能です。
怒りの原因で多いのは、他人に対して「こうしてくれるはずだ」「この人はこういう人だ」という勝手な思い込みや、「こういう人であってほしい」「こういう結果になってほしい」という勝手な願望。

そして怒りっぽい人に多いのが、完璧主義です。
「こうあるべき」「こうでなければならない」といった完璧主義は、狭い条件へと自分を追い込むので、願望が実現することは少なくなり、マイナスの感情を抱きやすくなります。
他人に対しても完璧を求める傾向にあるので、怒りっぽくなってしまいます。

こうした勝手な思い込みや完璧主義に気づくことができれば、怒りが収まらないという状況はかなり減少するはずです。

問題は4種類の怒り

本来は自然な感情である怒りが、周囲の人たちや自分自身に悪影響を及ぼすのは、強くなり過ぎてコントロールできなくなるからなのですが、問題となるのは次にあげる4種類の怒りです。

① 急上昇する怒り
真っ赤になって怒る人を「ヤカン」にたとえてみたり、スイッチが入ると火を噴くように怒り出す人を「瞬間湯沸かし器」と呼んだりしますよね。
その割には、少し時間が経つと自分が怒ったことも忘れてしまっていて、周囲の人たちだけが不愉快な思いをするケースも。

こういう怒り方は、パワーハラスメントとみなされることも少なくありません。
脳や心臓に負担をかけることにもなるので、早く気づいて改善したいものです。

② 持続性がある怒り
これは怒りが「恨み」になってしまうケース。
いったんは怒りが収まっても、何らかのきっかけで怒りの感情が吹き出します。

10年前に知人たちと温泉旅行へ行き、大切にしていたクルマをぶつけられて傷つき、とても憤慨したとします。
いまだにその温泉街の映像をみると、そのときの嫌な気分を思い出して怒りがこみあげてくる、というようなことはありませんか?

過去は変えようがないのですから、早く受け入れて笑いにかえるような寛容さがあれば、余計なストレスを抱えずにすみます。

③ 頻度が高い怒り
細かいことにイライラして、年がら年中周囲に怒りをぶつけるケースです。

会社の上司がこういうタイプであった場合、部下たちは緊張状態を強いられて、その上司が怒りそうな報告を避けるようになっていきます。
親であった場合には、常に親の顔色をうかがって「いい子」になろうとする子どもが多くなります。

また、頻度が多いと慣れてしまい、その人がいくら怒っても周囲の人間は聞き流すようになり、その状況をさらに怒るという悪循環に陥るケースも少なくありません。

④ 攻撃性がある怒り
怒りによる攻撃は、3つのパターンがあります。
ひとつは怒った相手だけではなく関係のない人にまで暴言を吐いたり暴力をふるったりする、「他人を傷つける」パターン。

2つ目は、必要以上に自分を責めたり、自傷行為に走るパターン。
3つ目は、物にあたるパターン。

自分のことを冷静に振り返り、これら4種類の怒りそれぞれについて点数をつけてみると、自分の怒りの傾向がわかり、客観的に対処できるようになるでしょう。

アンガーマネージメントを知る

アンガーマネージメントとは、「anger(怒りの感情)」を「management(管理する)」という意味の英語で、1970年代からアメリカで行われてきた心理トレーニング法として認知されています。

日本でも「自分の感情としっかり向き合って、自分らしく生きるノウハウ」として、企業研修、医療、教育など幅広い分野で活用されています。

アンガーマネージメントの目的は、怒りを自然な感情としてとらえ、怒らないようにするのではなく、怒る必要のあることは上手に怒り、怒らなくてもよいことは怒らなくて済むようになること。

後半は、アンガーマネージメントで提唱されてきたノウハウをベースとして、怒りが収まらないときの対処法を紹介していきます。

怒りが収まらないときの対処法10選

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必要のある怒りを健康的に解決し、不要な怒りを避けるアンガーマネージメントでは、「衝動」「思考」「行動」という3段階で怒りに対処するテクニックがあります。

「衝動」は、怒りの感情のピークとされる6秒間をいかにしてやり過ごすかというテクニック、「思考」は、どうしても許せないことなのかを自分に問うテクニック、「行動」は許せないことであった場合にどう行動するかというテクニック。

もっとも重要なのは「衝動」を抑えることで、とにかく感情のピークを乗り切りさえすれば、冷静に対処することが可能になるのです。
ここでは①~⑧まで、誰にでも実践可能な感情のピークを乗り切るテクニックを紹介し、最後に思考と行動のコントロール方法について簡単にふれておきましょう。

① 10秒をカウントダウン

イラっとしたら、ロケットの打ち上げがごとく、「10」「9」「8」とテンカウントを頭の中で唱えます。
ロケット打ち上げのシーンを思い浮かべてもいいでしょう。

何も考えずに10秒間をやりすごすのが目的。
急激に脳が沸騰したような怒りでも、10秒経てば確実にクールダウンをはじめていますから、もっとも基本的な対処法として覚えておきましょう。

② 変則カウントダウン

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テンカウントダウンに慣れてしまい、カウントダウンをしていても怒りの対象が頭から離れないという場合は、変則的なカウントダウンが効果的。

100から6ずつマイナスしていく、9ずつマイナスしていくというように、頭を使うカウントダウンにするのです。

思考をそらすことが目的ですから、強制的に何かを考えるようにするわけです。

③ 深呼吸をする

深呼吸は、時間をやり過ごすだけでなく、たかぶっている自律神経を整えて気持ちを落ち着かせる効果が高いメソッドです。

イラっとしたら、まず8秒かけて「フー」と口から息を吐き切り、次に鼻から4秒間でお腹に息を吸い込み4秒間静止。
6秒と3秒でもかまいません。

これを気持ちが落ち着くまで繰り返しましょう。
目を閉じて自分の呼吸に気持ちを集中するようにすれば、マインドフルネス(瞑想)の訓練にもなります。

④ マントラを唱える

「マントラ」とは「おまじない」のこと。
怒りが込み上げてきたら、「おまじない」を唱えて気持ちをそらし、時間をやりすごすテクニックです。

おまじないとしては、「大丈夫、大丈夫」を繰り返す、「私は心の広い人間だから怒らない」といった自己肯定感を高める言葉が安心感をもたらしますが、まったく意味のない言葉の羅列でもかまいません。
自分なりに感情のピークをやり過ごす「おまじない」を考えておきましょう。

⑤ 怒りに点数をつける

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これは客観的に自分を見ることによって冷静になるテクニック。
怒りの感情が込み上げてきたら、その感情に自分なりの点数をつけるようにするのです。
10点満点でも100点満点でもいいのですが、より思考をそらすことを考えると100点満点にして細かく採点するのがいいでしょう。

「今日の怒りは55点」「この怒りは70点」というように採点します。
「熱量」が50点満点、「質量」が50点満点という2項目からの合計点などという方法にすれば、遊び心も加わって、より効果が上がるでしょう。

⑥ 席を立って歩く

デスクで仕事をしていて怒りが込み上げてきたようなときには、とりあえず席を立って歩きましょう。
たいした距離でなくてもかまいません。
10秒間をやり過ごせればいいのです。

トイレに行くのもいいでしょうし、何か飲み物を取りに行くとか、窓の側へ行って景色を眺めるだけでもOK。
人間は15分間動かないでいると血流の悪化がはじまるといわれていますから、通常でも30分に1回は身体を動かしたほうがいいのですが、席を立って歩くだけで血流の改善が図れて脳が活性化し、冷静な判断ができるようになるはずです。

⑦ ストレッチをする

歩くのと同じ理由から、筋肉を伸ばして血流を改善するストレッチもアンガーマネージメントには効果的です。

席を立つことができない場合や、どうしても歩くことができないような場合にも、その場でできるストレッチや座ったままできるストレッチを実践してみましょう。
たった10秒間でも、思った以上に頭がスッキリするものです。

とくに肩甲骨、肩、首まわりは、脳への血流を左右するポイントですから重点的に!

⑧ スマートフォンで気をそらす

簡単に気をそらすことができる、もっとも身近なアイテムはスマートフォンでしょう。
イラっとしたら、スマートフォンを手にしてメールチェックをするなり、ニュースを見るなりして10秒やり過ごします。

時間があるときには、思い出のある写真を見たり、音楽を聴いてクールダウンすれば効果抜群です。

⑨ 思考をコントロールする

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怒りの感情がピークを迎える6秒をやり過ごしたら、クールダウンしながら思考のコントロールを行いましょう。

怒りの原因になった事柄について、「許せる」「問題はあるが、まあ許せる」「許せない」という3つのゾーンに分類します。

「まあ許せる」というゾーンは、そのときの精神状態や環境に左右されて、広くなったり狭くなったりするもの。
そのときどきの気分で冷静に分類し、「許せる」「まあ許せる」というゾーンにある事柄は切り捨てても問題がないことだと割り切ります。

⑩ 行動をコントロールする

「許せない」ゾーンに分類された事柄は、「自分で変えられることなのか?」「重要なことなのか?」という2つのフィルターを通して4種類に分類し、対処します。

① 重要で変えられること
このゾーンにある事柄は、すぐに取り組んで状況を改善しましょう。

② 重要ではないが変えられること
このゾーンに分類された事柄は、余力があるときに取り組むようにします。
放置したままにせず改善することが、ストレス軽減につながります。

③ 重要ではあるが変えられないこと
自分で変えることができない事柄は現実として受け入れる以外にありません。
重要なことであればなおさら、早く受け入れて最善の策を考えましょう。

④ 重要ではなくて変えられないこと
こういうことはかかわらないのが一番。
余計なストレスを抱えるだけですから、放っておきましょう。

まとめ

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「怒りが収まらない」という問題を抱えている人は、ストレス過剰な状態になっていることを自覚しましょう。

近年、社会全体でメンタルケアやストレスケアが重視されているのは、心身に与える影響が大きく、重大な病気を引き起こすケースが増えたからです。

セルフストレスケアの基本は、自分の意思とは関係なく降り注ぐマイナス感情を溜めないこと。
マイナス感情のうちでも、「怒り」は「苦しさ」や「哀しみ」よりコントロールしやすい感情だといわれます。
怒りをコントロールする術を身につけて、ストレスケアに活かしましょう。

【参考資料】
・『仕事もプライベートもうまくいく! 女性のためのアンガーマネジメント』 川嵜昌子 著  産業能率大学出版部 2020年
・『イライラに振り回されない7日間レッスン』 安藤俊介 著  毎日新聞出版 2020年

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