アドラー心理学入門編!5つの要点を分かりやすく解説

メンタル

書籍『嫌われる勇気』のブーム以来、アドラー心理学を活用して物事を考えたり、仕事で成果を上げたり、人間関係を円滑にしようと試みる人が増えました。
アドラー心理学は現代のSNS社会に非常に適した生き方を教えてくれるため、人生に悩む多くの人が「シンプルに生きる」ことのヒントを得て、実践をしています。

アドラー心理学とは一体どんなものなのか?
実生活にどのように役立つのか?
今の自分に合うのか?

この記事では、このような疑問にお答えするべく、入門編としてアドラー心理学を知らない方に向けて分かりやすく解説していきます。
「なんとなく知っている」という方も、アドラー心理学を実践できているか復習のつもりで確認をしてみましょう。

アドラー心理学とは?

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アドラー心理学とは、オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーが提唱した思考法です。
アドラー心理学の根幹は、

「人は目的のもとに生きている」「幸せになるには勇気を持つこと」

というテーマから成り立ちます。

仕事・恋愛・人間関係など、アドラー心理学は様々なことに応用できますが、その本質は「幸せになるには?」という、誰もが願う自己実現の欲求を叶えること。
そのため、性別や年代を問わず多くの人の注目を集めたのです。

アドラー心理学が話題になった理由

アドラーは、フロイト、ユングと並び「3大心理学者」と称されていました。
しかし、「意識は氷山の一角」を例えたフロイトや、自己実現を追求したユングと比べると、特に日本では名前の知られていない人物でした。

そんなアドラー心理学が話題になり、アドラーの知名度を広めたのが、2013年の書籍『嫌われる勇気』です。
この時期は、スマホやSNSを幅広い世代が使い始めた時期と重なっていて、デジタルコミュニケーションがもたらす承認欲求や、いつでも誰かとつながっている状態に誰もが気疲れしていました。
今でも、SNSが原因でストレスを感じている人は少なくないでしょう。

この人類が経験したことのないデジタルな人間関係と上手に向き合う方法を教えてくれたのが、アドラー心理学だったのです。

アドラー心理学は、正式名称を「個人心理学」と呼び、個人の創造力を尊重し、自分らしく変化することの大切さを説いています。
SNSの発達で他者との比較が加速した現代において、「自分らしく生きる」「ありのままに生きる」という個々人の幸せを叶えるヒントを教えてくれるアドラー心理学は、現代に最も適した心理学の1つとして注目されています。

アドラー心理学の5つの特徴

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アドラー心理学には「理論」「技法」「思想」など様々な体系化がされていますが、私たちが日常生活でアドラー心理学を活用する上で最初に知っておきたいポイントは、次の5つです。

①目的論
②劣等感
③課題の分離
④ヨコの関係と共同体感覚
⑤勇気付け

ここからは、アドラー心理学の重要ポイントであるこの5つの理論・技法について、具体例を用いて分かりやすく解説していきます。

①目的論

目的論とは、「人間の行動にはすべて目的がある」とする考え方です。
人間は必ず目的をもって行動することから、

「今自分が置かれている状況は、自分の目的を達成するために自分が選択した結果である。」

とアドラーは説いています。

アドラー心理学の目的論と比較される考え方に、原因論があります。
原因論とは、「結果にはすべて原因がある」とし、今の自分の状況は過去の行動によって決められるとする論法のこと。

例えば、「仕事を頑張っているのに給料が増えない」と悩んでいるとしましょう。
原因論で考えると、

・時給の低い会社にいるから
・努力が足りないから
・割のいい仕事をもらえないから

といろんな原因を挙げることができます。
しかしアドラー心理学を当てはめると、「給料を上げることではなく頑張ることが目的になってしまっている」という可能性を考えることができます。
「頑張れば絶対に報われる(給料が上がる)」といった具体的な根拠がなく仕事をこなしているため、いつまで経っても収入が増えないのです。

アドラー心理学では、「どんな目的のためにその行動をしているか?」と自分に問いかけることの大切さを教えてくれます。
自分の目的に沿った行動をしていない場合、いつまで経っても心が満たされることはありません。
現状に満足しつつもさらに成長するためのヒントは、常に目的を考えて行動することで見つけることができるのです。

②劣等感

劣等感とは、「自分の理想に達していない」と主観的に感じること。
アドラー心理学は、人間が劣等感を持つことを肯定しています。

アドラーいわく、

「人間は理想があるから劣等感を抱く」「劣等感があるからそれを乗り越えようとする力が湧く」「劣等感を乗り越えることで理想が実現される」

と説き、劣等感は理想の自分に近づくために必要と考えました。

例えば、好きだった恋人に「年収が低いから」という理由で振られたとしましょう。
この時、「十分に稼げない自分はダメな人間だ…」「お金持ちなら振られなかったのに…」と落ち込んでしまいます。

しかしアドラー心理学に従うならば、「もっとお金を稼げれば彼女を幸せにできるし、出会いのチャンスも広がる!」と能動的な意欲が湧き、振られたことが劣等感を克服するための人生経験となります。

劣等感とは、個人が心から実現したい欲求を教えてくれる貴重な感覚です。
人間は完ぺきではないからこそ、劣等感を活かすことの重要性をアドラー心理学は教えてくれます。

③課題の分離

課題の分離とは、自分の課題と相手の課題を分けて考えることです。
アドラーは、自分一人で乗り越えられる課題と、相手次第で良くも悪くもなる課題を分け、

「自分の課題のみに集中することで、あらゆる対人関係のストレスから解放される」

と考えました。

例えば、ミスをしてしまった会社の後輩を注意しなければならない場面に遭遇したとします。
この時、「どう注意しようか?」「この言葉を言ったら嫌われるんじゃないか?」「でも甘やかしすぎるとまた同じミスをするのでは…?」と、相手の気持ちを考えすぎて、中途半端で後輩の心に響かない注意になってしまうことがあります。

しかし冷静に考えると、

・厳しい言葉で注意したことで、後輩が自分を嫌うかどうか?
・甘やかしたことで、後輩が成長してくれるかどうか?

これらは完全に相手次第であり、自分では決してコントロールできない相手の課題なのです。
つまり課題の分離とは、「相手の課題は相手が乗り越えるもの」「自分が干渉することではない」と、まさに課題を意識的に切り離すことなのです。

課題を切り離すことで、今回の事例でいうと、仮に後輩に嫌われたとしても「自分は最善を尽くした。嫌われたことは素直に受け入れよう」と気持ちを切り替えることができますし、後輩が成長できていないことを自分の責任と感じてストレスを抱えることもなくなります。

課題の分離の注意点

ただし、課題の分離には「相手の課題を尊重しなければいけない」という注意点があります。
もし今回の事例で、「自分は嫌われてもいい。だから思いっきり罵倒してストレスを発散しよう」という目的で後輩を注意した場合、それは相手の成長につながる課題を踏みにじる行為になってしまいます。
このようにアドラー心理学の課題の分離は、自分の都合を良くするための言い訳に使うことができてしまうのです。

『人生におけるあらゆる失敗の原因は、自分のことしか考えていないことにある。』

このアドラーの名言の通り、自分のことだけを考えれば自己中心的な人間が出来上がり、自分を犠牲にしてまで他人を優先すると、他人の望む人生を歩むことになります。

課題の分離は、アドラー心理学に「個人を尊重する」という根幹があるからこそ成り立っています。
大切なことは、自己と他者の課題を切り離して、自分の課題にのみ集中し、自分を幸せにすること。
自分が幸せになれば、相手の幸せを願うことができ、他人の不幸を望むことはありません。

「自分が幸せである上で、他人を幸せにすること」

この考え方を、アドラー心理学は丁寧かつ実践的に説いています。

④ヨコの関係と共同体感覚

ヨコの関係とは、性別・年齢・性格・価値観に関係なく、人間関係を横並びに捉えて信頼関係を築いたり、相手を尊重すること。
これに相対するタテの関係は、主従・支配・依存といったメリットとデメリットの生じる関係性が構築されてしまうため、個人を重視するアドラー心理学ではヨコの関係を重視しています。

加えて、タテの関係は自己と他者の比較を生むため、「他人から認められたい」という承認欲求を生み出してしまいます。
SNSの活用でストレスを感じている人の多くは、無意識のうちにタテの関係を構築してしまい、他人と比較して自分の優劣を評価してしまっています。

一方でヨコの関係は、有名人でも偉人でもインフルエンサーでも、自分以外のすべての他人を「対等」とみなします。
人間はみな対等であるという思考は、アドラー心理学ならではの概念である「共同体感覚」を生み出します。

共同体感覚とは?

共同体感覚とは、「自分は共同体の一部である」と主観的に感じられることです。
学校・職場・友人・家族などなど、人間は何かしらの社会に属することが求められるからこそ、アドラーは、

「共同体感覚を持ち、仲間を尊重し幸せにすることが自分の幸せにつながる」

と考え、他人との対等なつながりも重視していました。
アドラー心理学では、共同体感覚を持つために次の3つの思考が必要としています。

【共同体感覚に必要な3つの思考】
①他人を無条件に信頼する
②他人の役に立つことをする
③ありのままの自分を受け入れる

どれも理想的で習得が難しいもののように思えますが、唯一、共同体感覚のきっかけを掴むために実践できる思考があります。
それは、②の「他人の役に立つこと」です。

他人と聞くと「自分以外のすべての人間」と規模を大きく考えがちですが、家族や親友といったごく身近な人の為になることをするだけでも、共同体感覚を掴むことができます。

誰かの役に立つことで、自分の価値を実感できたり、居場所を感じられるようになります。
承認欲求を満たせるかどうかは相手次第ですが、他人のために行動することは自分次第であり、課題の分離も満たすことができます。

ヨコの関係を意識して共同体感覚を掴み、他者を尊重する心を養いましょう。

⑤勇気づけ

勇気づけとは、自己の課題を乗り越えたり劣等感を克服するためのきっかけを作ること。
アドラー心理学は「勇気の心理学」という異名があり、また『嫌われる勇気』というタイトルからも分かる通り、勇気こそがこの心理学の真髄です。

ここまで紹介してきたアドラー心理学の4つのポイントは、次の通り、どれも多かれ少なかれ勇気を必要とします。

・目的論に従って、自分を変えるための一歩を踏み出すこと
・劣等感を克服すること
・自己と他者の課題(意識・思考・感情・行動)を切り離すこと
・いかなる相手にも対等なヨコの関係でいること

理想の自分を実現させるためのすべてのきっかけは、勇気づけから始まります。

勇気づけ⇒目的の明確化⇒目的に従った行動⇒目的の達成⇒理想の自己実現⇒勇気づけ…

この好循環を築くことで、一歩ずつ自分の理想を叶えていくことができるのです。
「自分を変えたい」という勇気を持ち、勇気を活力にするだけでも、アドラー心理学を実践する意義は誰にでもあると言えるでしょう。

アドラー心理学をおすすめしたい人

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アドラー心理学をおすすめしたい人、またアドラー心理学が人生の指針に適している人は、次の通りです。

・理想の自分像があり、理想を実現したいと願っている人
・対面でもデジタルでも、対人関係のあらゆるストレスから解放されたい人
・今の自分を少しでも良い方向に変化させたいと願っている人

アドラー心理学は、自分の意識と行動が「変化すること」を前提にしています。
アドラー心理学に限らず、現状に100%満足している人が新たな思考法を自分に当てはめたり実践することは、今の満足度を下げる原因になりかねません。

アドラー心理学とは、個人が主観的に幸せを実感するためのヒントを与えてくれます。
すでに幸せで満たされている人には向いていませんが、先述した通り、完ぺきな人間はいません。
人間は不完全だからこそ、それが魅力にもハンデにもなります。
アドラー心理学は、そんな人間の不完全さを魅力に変えるきっかけを教えてくれるからこそ、現代の多くの人に共感されたり、反対に盛んな議論もされるのでしょう。

まずは、アドラー心理学のうち「これは自分に必要かもしれない」という部分のみをピックアップして、人生を好転させる指針にしてみましょう。

アドラー心理学の入門に適した本・マンガ

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アドラー心理学を始め、人の深層心理を追求する多くの心理学は、その人の性格・境遇・現状に応じて様々な解釈や実践法を編み出すことができます。
そのため、「正しく実践できているか迷いやすい」という欠点もあります。

そこでおすすめの学習・習得方法が、アドラー心理学を解説する様々な書籍を読み、理論や技法を多角的に知ること。
著者のそれぞれの解釈のうち、自分が最も腑に落ちる解釈を取り入れることで、アドラー心理学を「自分にとって正しい方法」で活用することができます。

ここからは、アドラー心理学の入門から復習にもおすすめの本・マンガを3冊ご紹介します。

おすすめの本①アドラー心理学入門

『アドラー心理学入門』は、まさにタイトルの通り、アドラー心理学を分かりやすく知るきっかけにおすすめの一冊です。
日本のアドラー心理学の第一人者である岸見一郎によって1999年に出版され、『嫌われる勇気』による知名度の広がりとともにこちらの書籍も注目されました。

著者がアドラー心理学の第一人者ということもあり、基礎を教科書的に学ぶことができます。

おすすめの本②嫌われる勇気

「アドラー心理学は人生にどう役立つのか?」という疑問を対話形式で知ることができる、アドラー関連のうち最も有名な書籍です。

説明口調ではなく2人の人物の対話を通してアドラー心理学の重要な部分をかいつまんで知ることができる、きっかけに最適な一冊です。

続編の『幸せになる勇気』も合わせて読むことで、アドラー心理学を深く理解できるでしょう。

おすすめのマンガ①マンガでやさしくわかるアドラー心理学

『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』は、マンガで簡潔にアドラー心理学を知ることができる代表的な一冊です。
「仕事に悩む主人公の女性に、幽霊となったアドラーがアドバイスをする」というファンタジーな物語形式で、アドラー心理学を実践的かつ感覚的に学ぶことができます。

活字が苦手な方は、このマンガをきっかけに手軽にアドラー心理学に触れてみましょう。

まとめ

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アドラー心理学は、他人とつながる手段が増え、相対的に個人を意識させられる現代において非常に有用な思考法であり、理想を実現させるための様々なヒントを教えてくれます。

アドラー心理学に懐疑的な方も、「アドラーは自分に合わない」という事実を知ることで生き方をクリアにできるため、理論を学ぶ意義は大いにあります。

仕事・恋愛・人生における自分をより理想に近づけたい方は、アドラー心理学で幸せになるための思考を鍛えてみてはいかがでしょうか。

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