お客さんに商品やサービスを買ってもらおう!というとき、金額や納期等、契約の詳細を記載した見積書が必要になります。
しかし、
「見積書って簡単なようで意外とめんどくさい。。」
「記載する項目って決まっているの?」
などと、疑問に思う方もいるでしょう。
見積書は、顧客と取引する上で、最初の試金石。
顧客に価格や納期などの情報を伝えるだけではなく、より分かり易く、魅力的な見積書を作成し、顧客の信頼をぜひ勝ち取りたいもの。
本記事では、
- 見積書を書く目的
- 見積書テンプレート紹介
- 見積書に記載すべき項目
- 見積書作成のポイント
を順番に説明します。
記載例ありのテンプレートも紹介しますので、ビジネスパーソン必見の内容です。
見積書の書き方にお悩みのご担当者様、ビジネスマナーを含めたマネジメントを担っている管理者様はぜひ最後までご覧ください。
見積書を書く目的
見積書を書く目的は下記の3つです。
- 価格や支払条件、商品・サービスの詳細内容を顧客に提示する。
- 顧客に商品の魅力を伝え、契約を促す。
- 会社内の情報共有を促進する。
それぞれの詳細を解説します。
1.価格や支払条件、商品・サービスの詳細内容を顧客に提示する。
見積書の一番の目的は、価格や支払い条件、商品・サービスの詳細を顧客に提示することです。
なぜなら、顧客が見積書を受け取った際、一番確認したいポイントだからです。
顧客とのやりとりにおいて、最初は口頭やメールにて、金額のやり取りをしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。おおよその金額を提示しておき、提案書や仕様書等で詳細条件を詰めていくケースも少なくありません。
しかし、顧客とのコミュニケーションにおいて最初はそれでいいのかもしれませんが、正式な契約において、書面での見積書の発行は必要不可欠です。書面での見積書がないと、後々顧客との認識相違により思わぬトラブルが発生する可能性があります。
本記事の内容およびテンプレートを参照し、見積書を正しく発行することで、その後の工程を滞りなく進めましょう。
2.顧客に商品の魅力を伝え、契約を促す。
見積書には、顧客に商品の魅力の伝えるという目的があります。
なぜなら、見積書により顧客に商品の魅力が伝われば、顧客はその商品を購入してくれるからです。
顧客は通常、複数の業者から見積を取得する、つまりは「相見積もり」の場合が多いもの。その場合、見積の内容に誤記や不備があると、契約に至る可能性は低くなってしまうでしょう。
そこで、本記事の内容を理解した上で、テンプレートに沿って、これまで口頭でやり取りしていた商談内容を正確に見積書に反映することで、スムーズに商談を進めることができます。
3.会社内の情報共有を促進する。
見積書には、会社の情報共有を促進するという目的もあります。
見積書が無い場合や、見積書のフォーマットが決まっていない場合、同じ会社内でも窓口となる担当者によって記載内容がバラバラにになります。
結果として、会社の資産として一括管理することや、データベースとして今後の案件に利用する際に大変不便になります。
場合によっては、大事な顧客を失ってしまうことにも繋がりかねません。
本記事に添付されたテンプレートを有効活用することで、見積書のフォーマットの共通化や、発行した見積書を社内でデータベースとして共有できるようになり、このような問題を解決できるでしょう。
【記載例あり】見積書のテンプレート
見積書のテンプレートを紹介します。
テンプレートに記載の各項目に関しては、次章で説明します。
本記事をお読みいただいた後、ぜひ下記テンプレートを参考に、あなた自身で見積書を書いてみてはいかがでしょうか。
【記載例あり】見積書テンプレート・Excelファイル

見積書に記載すべき項目
見積書に記載すべき項目は下記の通りです。
1.タイトル
「お見積書」か「御見積書」と記載。風変わりなタイトル、凝ったタイトルをつける必要はありません。”シンプル・イズ・ベスト”です。
2.見積番号、見積作成日
見積番号に関しては、顧客へ提示する際、特に必須となる項目ではないですが、社内で管理する上で必要になります。後日流用作成できれば非常に便利です。
1点、ここで豆知識。納品書や請求書も見積書に紐づけるよう、番号を管理すると、案件を管理する上で大変便利ですよ。
3.宛先:見積書を受け取る企業の住所、会社名、部署名、担当者名
担当者名が、法人名や部署名の場合、「様」ではなく、「御中」と表記することに注意。
また、会社名は「株式会社」「有限会社」と記載し、(株)、(有)のように略さないことが基本です。
4.見積書作成側の情報(会社名、担当部署、担当者名、e-mailアドレス、印鑑)
会社の住所、電話番号は必須ではありませんが、信頼性に繋がるので記載することをおススメします。印鑑に関して、会社名には社印を、作成担当者名の右横に作成者の印鑑を押印するようにします。
5.納期
明確な日付を記載しましょう。受注日が正式確定していない場合でも、「正式受注後○○ヶ月以内」と記載する必要があります。
6.納品場所・方法
商品の納品場所を記載します。最近では、商品やサービスによっては、e-mailに添付したり、クラウドサーバ上で納品することもあります。「貴社指定場所」など記載するケースもありますが、後々のトラブルとならぬよう、顧客とよく相談しながら決めることをおすすめします。
7.有効期限
見積書の有効期限を記載します。見積書の有効期限は契約後、容易に変更はできません。商品の在庫状況や資材の価格動向を鑑み、「いつまでに契約が確定すれば問題ないか」、事前にしっかりと確認し、有効期限を決めましょう。
「〇〇年〇月〇日」のような日付や「本見積提出後〇〇ヶ月」と記載します。有効期限が切れる前に顧客の契約の意向を確認すること、また有効期限が切れた後で、再度発注を依頼された場合は、その時の原価価格を確認の上、再度価格設定し、見積書を再提示することがポイントです。
8.見積明細
見積した商品名やサービス名、単価、数量、金額を記載しましょう。
9.合計金額
合計金額を税込で記載しましょう。各商品・サービスの明細の合計と一致することを確認しましょう。Excelのマクロ機能などの自動計算ツールを使用すると便利です。
10.備考
見積書の条件や補足説明など特筆すべき事柄について、記載するようにしましょう。
例えば、下記のような内容になります。
- お振込手数料はご負担願います。
- 〇月△日迄にご契約いただければ、送料は無料といたします。
特記事項として顧客の注意を引きたいとき、他社と差別化したいときなどに有効に使いましょう。
見積書作成のポイントを8つ紹介
見積書作成のポイントを8つ紹介します。
- 取引内容&金額は誤解が生じないよう明確に記載する
- 見積作成日と有効期限は必ず明記
- 相見積対策!取引内容&金額で差別化を行う
- 【松・竹・梅】3パターンの見積書を用意する
- 税抜き・税込み金額を明記する
- まずは正価テンプレートを使用すること
- を記載する【最初から値引きしない!】
- 作成後、第3者に確認してもらうこと。(ダブルチェック)
取引内容&金額は誤解が生じないよう明確に記載する
見積書を作成する大きな目的の1つは、”顧客と取引内容を正確に共有し、誤解や認識違いをなくすこと”です。見積書を作成するだけではなく、取引内容が明確にと伝わる見積書を作成しましょう。
具体的には、下記のような対策が有効です。
- 各明細を誤解が生じないよう具体的に記載する。
- 詳細条件を備考欄細かな条件は備考欄に追記する。
- 見積書だけでは分かりづらい場合、別途仕様書や要領書、取扱説明書などを添付する。
見積作成日と有効期限は必ず明記
見積書に有効期限を記載していないと、商品原価など市場状況に対応できません。見積時点では、安価で仕入れることができた資材が値上がりしていれば、商品を売っても逆に赤字になってしまう!そんなことも起こりえます。
顧客とのトラブルの種となりますので、必ず有効期限を明記するようにして下さい。
相見積対策!取引内容&金額で差別化を行う
顧客は相見積を取得するもの。テンプレートで間違いのない、見積書を作成することも重要ですが、それに加え、ライバル会社と差別化することも重要です。大量購入による値引きや手数料のサービスなど、顧客にうまくメリットを伝える見積書を作成しましょう。
【松・竹・梅】3パターンの見積書を用意する
これは1つのテクニックになるのですが、見積書を1パターンではなく、3パターン作成することで成約率を上げることができます。具体的にはフルスペックで高価なAパターン、標準仕様のBパターン、そしてミニマム仕様のCパターンを用意。
3パターンの見積書の中から、顧客は会社の状況に応じて自身で選択することができるので、成約率が上がる可能性があります。
見積書作成することの最終目標は、お客様に契約してもらうこと。この方法が役に立てば幸いです。
※(おまけ)ここで1つこぼれ話。選択肢を相手に3つ与えると、人間は中間の値段の商品を選ぶ傾向があります。行動経済学における「極端の回避性」といいます。
税抜き・税込み金額を明記する
税抜き価格(小計)、税込み価格(合計金額)を明記してください。
後々顧客トラブルを避けられます。
1つポイントですが、2019年10月1日以降、軽減税率が適用されています。軽減税率8%と10%を区別できるよう内訳を記載して下さい。
まずは正価を記載する【最初から値引きしない!】
「契約を取りたい!」という気持ちから、最初から値引きをした見積書を提示することは推奨できません。
相手の顧客が提示された見積金額からの値引きするよう依頼してくることも多いからです。
値引きは最終手段と認識し、まずは値引きのない正価の見積りを提出して下さい。
(このあたりは、見積書作成と合わせて、顧客との交渉術もアップさせる必要がありますね。)
テンプレートを使用すること
本記事でも紹介するテンプレートを使用しましょう。
記載項目の抜けが防げますし、特定のテンプレートを定めておけば、人の力量に依存しない見積書を作成することができるからです。
また、見積書をダブルチェックする上司や同僚も、漏れがないか判断しやすくなるでしょう。
作成後、第3者に確認してもらうこと。(ダブルチェック)
作成後の最終確認は必ずしましょう。自分自身でも最終確認した上で、上司や同僚など、第三者にも必ず確認してもらってください。作成した本人では気付かない、思わぬミスが見つかるかもしれません。
まとめ
今回は、
- 見積書を書く目的
- 見積書テンプレート紹介
- 見積書に記載すべき項目
- 見積書作成のポイント
といった流れで説明いたしました。
間違いのない見積書を作成することは、ビジネスマナーとして必要不可欠です。顧客との取引上、最初の正式の契約書となるからです。
「テンプレートなんかなくても、間違わないから大丈夫でしょ!」という考えから、見積書を手を抜いて作成するのではなく、
- 誤字脱字が無いか
- 記載する項目に漏れがないか
- 内容間違いがないか
- 見積書を読む顧客にとって魅力的な内容となっているか
という視点で、本記事で紹介したテンプレートも参考に、見積書を作成してみて下さい。
最後にもう1点、筆者の考えを述べさせていただくと、見積書を正しく作成することだけではなく、
- 読む人の気持ちになって見積書を作成すること
- 見積書を送付する際に、別記事でも紹介した”送付状”を付けること
- 状況によっては直接顧客に会って、心を込めて見積書の内容を説明すること
も大切です。
同じような条件の見積書がたくさん送られてきたとき、顧客の最後の決め手となるのは、やはり”人の気持ち”なのですから。
本記事を通じて、あなたが見積書の目的・役割を正しく理解し、業務に有効に活用いただければ幸いです。今回もお読みいただき、ありがとうございました。