名刺交換はビジネスの基本です。
初めての方とお会いする際に「まずは名刺交換から」というのは日本のビジネスシーンの慣習となっており、新入社員時代には名刺交換マナーを一番初めに教わったという方も多いのではないでしょうか。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、従来は対面が基本とされていた商談においてもオンラインで行われる機会が多くなりました。
そんな中、オンライン商談時の名刺交換はどうしたらよいか悩む方も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、「オンラインで名刺交換ができるツールやサービスの活用」です。
本記事では、仕事をかしこく・たのしくするビジネスメディアを運営する「Smarf」が、オンライン名刺交換のメリットや活用方法、オンライン名刺交換機能があるツールを紹介していきます。
「名刺交換のオンライン化」と聞くと、これまでの常識からは考えられないと驚く方もいるかと思いますが、実際に使ってみると非常に便利な機能です。
特に「まだオンライン名刺交換を試したことがない」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
オンライン名刺交換とは?
オンライン名刺交換とは、「オンライン上で名刺をお渡しすること」です。名刺をお渡しするといっても、紙の名刺は物理的に交換できないため、名刺情報をデータとしてお渡しします。
名刺情報とは
- 社名
- 役職
- 氏名
- 連絡先(電話番号、メールアドレスなど)
- 会社住所、URL
などがあります。
昨今、オンライン商談の機会が増えたことにより、名刺交換マナー自体を疑問視する声も増えてきています。参考:不要だと思うビジネスマナーランキング!男女500人アンケート調査
しかし、ビジネスシーンにおいて名刺交換は非常に大きな意味を持ちます。
名刺交換のメリットは、
- 自分の名刺を渡すことで連絡先などの情報を伝えられる
- 顧客の所属部署や役職を把握することで営業戦略に活かせる
といったことがあげられます。
名刺交換という慣習がなければ、顧客に名前や役職を伺う必要があるため、場合によっては不都合が生じます。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、急速にオンライン商談化が進んでいますが、それによって顧客の連絡先が分からず、商談後に連絡が取れなくなったといった問題も起きています。
名刺管理サービスを運営するSansan株式会社が行った調査によると、名刺交換がなくなったことで100名規模の企業の平均損失額は年間約21.5億円に上ると推計されました。
新型コロナウイルスの影響がなければ、本来行えるはずだったビジネスパーソン1人あたりの名刺交換は年間で約201枚であり、それを対象人数で乗じ、国内対象業種の年間総取引額を割った場合、名刺1枚あたりの経済的な価値は約37万円と推計されます。
この数値を緊急事態宣言後に減少した平均名刺交換枚数・58枚で乗じ、年間の経済損失額を試算すると、常用雇用が100名以上いる企業の場合、1企業当たりの平均年間経済損失額は約21.5億円となりました。
引用:Sansan、コロナ禍における企業の商談・人脈・顧客データに関する調査を実施
このような結果から、ビジネスシーンにおける名刺交換の必要性は現段階では十分に高いといえるでしょう。
オンライン名刺交換のメリット
オンラインで名刺交換というと抵抗がある方も多いかと思いますが、実際にはオンライン商談の増加にともないオンライン名刺交換を取り入れる企業も増えています。
名刺アプリ「Eight」を提供するSansan株式会社が行ったビジネス実態調査によると、オンライン名刺交換をした人は2019年以前の10倍以上に増加し、オンライン商談を行った2人に1人はオンライン名刺交換をしていることがわかりました。
現在名刺アプリを使っているビジネスパーソンに、「名刺アプリで使用した機能」を尋ねたところ、2019年以前に「オンライン名刺交換」を行った人は全体の7.8%であるのに対し、2020年6月には80.3%となりました。
同月に使用した機能では「名刺データの管理・閲覧」(79.8%)を上回る結果となりました。
引用:名刺アプリEight オンラインシフトするビジネスシーンの実態を調査
この結果からわかるように、オンライン名刺交換はオンライン商談における、新しいビジネスマナーになりつつあります。
ここからは、オンライン名刺交換のメリットについて解説します。
名刺切れや、名刺入れ紛失の心配が不要
オンライン名刺交換は、紙名刺のようにうっかり名刺切れを起こしてしまうことや、顧客の名刺が入った名刺入れをどこかに置き忘れるといったリスクがなくなります。
名刺入れの紛失は、法律上は情報漏えいに当たらないとされていますが、万が一の場合は悪用されるリスクはありますし、顧客や社内からの信用も失うでしょう。参考:名刺入れを無くした!?個人情報漏洩になるのか?!(ユーピーエフ株式会社)
その点、オンライン名刺交換の場合は名刺入れを持ち歩く必要がありませんので、紛失の心配は不要です。
印刷代が掛からない、自由にデザイン変更可能
紙名刺の場合は印刷代がかかりますが、オンライン名刺の場合はそうしたコストは一切かかりません。
また、紙名刺の場合はまとまった数で注文するため、一度印刷してしまうと使いきるまで同じデザインになります。
オンラインの場合は、いつでも自由にデザインや記載情報を編集できますので、顧客に合わせていくつかのデザインを持っておくことも可能です。
特に紙名刺の場合は、人事異動などで部署や役職が変わった場合、旧名刺は使えなくなるため、余っていた名刺はすべて破棄することになります。新しい名刺の注文をするためにさらにコストが掛かります。
オンライン商談でも名刺交換が可能
オンライン商談でも、対面商談のときと同じように顧客から名刺交換を求められる場合があります。
実際に、オンライン名刺交換をする理由は「相手が名刺交換を求めてきたから」が最も多く、続いて「名刺交換することはビジネスマナーだから」となっており、理由の多くがビジネス慣習の継続であるといえます。
オンライン名刺交換を行う理由は、「相手がオンライン名刺交換を求めてきたから」が最多(39.0%)。次いで、「オンライン会議・商談においても、名刺交換することはビジネスマナーだと思ったから」(36.3%)、「参加者全員の名前や部署・役職などを把握したいから」(34.3%)となりました。対面時と同様にオンライン会議でも名刺交換を行うことで、ビジネス慣習を継続することや、コミュニケーション面での課題解決につながることが示唆されました。
引用:名刺アプリEight オンラインシフトするビジネスシーンの実態を調査
名刺情報をいつでも検索できる
オンライン名刺交換後は顧客データとして取り込まれるので、パソコンやスマホから名刺情報の検索が可能です。
そのため、紙名刺のようにファイリングする手間や、顧客の名刺を探すのに時間が掛ける手間が不要になります。
オンライン名刺交換の方法
ここからは実際のオンライン名刺交換のやり方について解説します。
オンライン名刺交換の方法はいくつかあります。
操作や説明に時間が掛かると顧客に迷惑がかかるため、あらかじめ社内でロールプレイ(演習)をするなどして、実際の場面ではスムーズに交換できるようにしましょう。
名刺管理ツールの名刺交換機能を活用する
名刺交換ツールやオンライン商談ツールには名刺交換機能が備わっていますので、そちらを活用する方法です。
商談がはじまるまでに自分の名刺情報を登録しておく必要がありますが、あとはかんたんなステップで顧客に名刺情報を送ることが可能です。
名刺データのURLを送る
オンライン名刺や、自己紹介ページのURLを発行できるツールを使う方法です。
URLはどこにでも貼ることができるので、
例えば
- オンライン商談シーン
- ビジネスチャット
- メール本文内、署名欄
などプロフィール欄に貼っておくことで、顧客が連絡を取りたいと思った時に連絡先を見つけてもらいやすくなります。
名刺データのQRコードを送る
QRコードとは、スマホのカメラなどで読み込める四角形バーコードのようなものです。
名刺管理ツールにあらかじめ備わっていることが多く、かんたんなステップでQRコード作成が可能です。
注意点としては、画面が暗かったり、カメラのピントが合わないと読み込めないことがあります。
対策として、
- 画面を明るくしておく
- ピントがある距離を探しておく
- 自分で読み込んでみてエラーがないか確認する
といったように、顧客に対する配慮を心がけることが大切です。
特に顧客によってはQRコードを使った経験がない方もいますので、そうした場合はQRコードの使い方から説明しなければならず、顧客にストレスを与える可能性もあります。
そのため、オンライン名刺交換の際はQRコード一択ではなく、「いくつか方法がある中で、QRコードにも対応しています」と案内した方がスマートです。
オンラインで名刺交換が可能なツール3選
ここからはオンライン名刺交換が可能なツールを紹介します。
各社の公式サイトでは、使い方の動画などもあるので、興味がある方はそちらも併せてご覧ください。
Sansan(Sansan株式会社)

概要
「名刺管理から働き方を変える」をビジョンに掲げる、国内最大規模の名刺管理サービスです。
Sansanのオンライン名刺交換は非常にシンプルです。Sansanを利用しているユーザー間であれば、自分のオンライン名刺のURLを顧客に伝えるだけで名刺交換が完了します。
交換した名刺はSansanに自動で登録されるため、パソコンへの入力や管理の手間が一切不要です。
特長
- Sansan利用ユーザー間であればオンライン名刺URLを伝えるだけで名刺交換が完了
- 顧客がSansanを利用していない場合は専用QRコードから紙名刺を撮影してもらうだけで名刺交換が完了
- 複数人との同時名刺交換も可能。交換した名刺はSansanに自動で登録されるので入力の手間が不要
導入時の注意点
多機能ですが、その多くが有料のオプションになっているため、ランニングコストが高額になる可能性があります
無料プラン有無
無料トライアルあり
費用
プラン | 費用 |
---|---|
Lite | 要見積もり |
Standard | 要見積もり |
DX | 要見積もり |
Sansanスキャナー | 月額 10,000円/台 |
導入企業の声
・オンラインでお会いした方の人物情報が正確に蓄積され、これまでと変わらず、社内で名刺情報を共有・活用することができます。正確な顧客情報を得づらく、蓄積しづらい状況下において、そこをカバーできるSansanのオンライン名刺をさらに活用していきたいと考えています。
引用:Sansan公式サイト/導入事例(イベント運営)
・アプローチしたい企業や人物と上司や同僚とのつながりをSansanで確認できるため、すぐに紹介を頼むこともできます。各社員が持つ人脈が可視化されたことで、効果的かつ戦略的な営業活動を組織的に行えるようになりました。
引用:Sansan公式サイト/導入事例(総合不動産管理)
bellFace(ベルフェイス株式会社)

概要
営業組織のオンライン化を実現するbellFace(ベルフェイス)は、誰でもかんたんにオンライン商談・オンライン名刺交換を実施できるツールです。
顧客側はアプリインストール不要なので、利用時にお客様の手をわずらわせる心配は不要です。ネットが苦手な方でもオフラインと同じ様な感覚で名刺交換が可能です。
bellFaceのオンライン名刺交換は、オンライン商談開始後にPCカメラ枠に収まるように名刺を撮影するだけで、名刺交換が完了します。
特長
- 議事録メモ、営業トークのカンペ表示、自分らしさが伝わるオンライン名刺プロフィールなど、オンラインでも対面以上の効果を生み出す機能を実装
- レコログ(録画・録音)機能により育成、学習、マネジメントが効率化
- 専任コンサルタントによる安心のサポート体制。ワークショップ、成果向上の支援など多様なサポートメニューを用意
導入時の注意点
- オンライン名刺交換機能はPC同士の接続時のみ利用可能です
- Internet Explorerブラウザでは利用ができません
無料プラン有無
要問合せ
費用
初期費用+月額費用(利用ID数により異なる)
※要見積り
導入企業の声
あえてツール名を言わず、「HPを開くだけの簡単なwebツールでご挨拶を」とお伝えすることで非常にスムーズにご案内ができました。先方の事前準備がいらないというのもメリットとして伝わりましたね。
引用:bellFace公式サイト/導入事例(損害保険)
bellFaceにより全国への新規営業が可能になったので、導入後4か月目から新規開拓にも注力しています。オンラインなら30分刻みで商談が設定できますし、件数が増やせるため契約数も順調に伸びています。
引用:bellFace公式サイト/導入事例(機械加工部品製造)
ホットプロファイル(株式会社ハンモック)

概要
ホットプロファイルは、名刺管理だけでなく、営業活動で重要な「顧客管理」を実現するクラウド名刺管理ツールです。
拡張機能が充実しているため使い込むほど営業活動の生産性が高まり、自社の売上向上を支援します。
ホットプロファイルのオンライン名刺交換は、WEB会議画面内に表示されたQRコードを読み込むだけで名刺情報の受信が可能です。
さらに顧客側は自分の名刺をスマホカメラで撮影するだけで送信できる使い勝手の良さが特長です。
特長
- WEB会議画面上に表示されたQRコードを読み込むだけで名刺情報の受信が可能
- 顧客側は紙名刺をスマホのカメラで撮影するだけで名刺情報を送信可能
- 登録された名刺の顧客データから、顧客企業の財務情報・人事情報など、最新情報を常に閲覧可能
導入時の注意点
サポート体制に対する不満の声があります
無料プラン有無
無料トライアル有り(30日間)
費用
- 初期費用 0円
- 基本パック(名刺管理) 1ユーザー3,000円/月額
- SFAパック(名刺管理+営業支援) 1ユーザー5,000円/月額
※別途有料オプション有
導入企業の声
・名刺スキャン、顧客管理、メルマガ送信、SFAといった営業とマーケティングの領域を横断した目的でツールを探していた弊社にとって、機能・規模感・料金のバランスが一番フィットしたのが HotProfile でした。
引用:ホットプロファイル公式サイト/導入事例(IT開発)
ホットプロファイル導入後はデータ化した名刺に対してメールを送り、その後の効果が目で見てわかるようになったため、能動的に活用する営業マンが増えました。「こんなアプローチをかけたい」とか、「あれはうまくいかなかった。どうしてだろう?」などと試行錯誤しています。
引用:ホットプロファイル公式サイト/導入事例(通信機器商社)
オンライン名刺交換ツールを一覧表で確認
ツール名 | 特長 | 費用 |
---|---|---|
Sansan (Sansan株式会社) | ・Sansan利用ユーザー間であればオンライン名刺URLを伝えるだけで名刺交換が完了 ・相手がSansanを利用していない場合は専用QRコードから紙名刺を撮影してもらうだけで名刺交換が完了 ・複数人との同時名刺交換も可能。交換した名刺はSansanに自動で登録されるので入力の手間が不要 | ・Lite:要見積もり ・Standard:要見積もり ・DX:要見積もり ・Sansanスキャナー:月額10,000円/台 |
bellFace (ベルフェイス株式会社) | ・議事録メモ、営業トークのカンペ表示、自分らしさが伝わるオンライン名刺プロフィールなど、オンラインでも対面以上の効果を生み出す機能を実装 ・レコログ(録画・録音)機能により育成、学習、マネジメントが効率化 ・専任コンサルタントによる安心のサポート体制。ワークショップ、成果向上の支援など多様なサポートメニューを用意 | ・初期費用 ・月額費用:要見積り |
ホットプロファイル (株式会社ハンモック) | ・WEB会議画面上に表示されたQRコードを読み込むだけで名刺情報の受信が可能 ・顧客側は紙名刺をスマホのカメラで撮影するだけで名刺情報を送信可能 ・登録された名刺の顧客データから、顧客企業の財務情報・人事情報など、最新情報を常に閲覧可能 | ・初期費用 0円 ・基本パック(名刺管理) 1ユーザー3,000円/月額 ・SFAパック(名刺管理+営業支援) 1ユーザー5,000円/月額 ※別途有料オプション有 |
まとめ|オンライン名刺交換を活用すれば営業の機会損失を防ぐことが可能!
この記事では、リモートワーク時やオンライン商談時に役立つ、「オンライン名刺交換」について、オンライン名刺交換のメリット、オンライン名刺交換のやり方、おすすめのツールを紹介してきました。
ビジネスの基本である名刺交換は、商談後のアプローチする際やキーパーソンの把握において重要な役割を持ちます。
リモートワーク化が進んだことで、一部では名刺交換マナー不要の声もあがっていますが、実際には名刺交換の機会損失により企業の売上が毀損するといった試算結果も出ています。
オンラインで名刺交換というと少なからず抵抗がある方もいるかと思いますが、実際にやってみると非常に便利であることがわかります。
この記事をご覧になって頂いた方は、まずは一度試していただき、その便利さを社内に伝えて頂けたらと思います。
もし、それでも自社での導入が進まないといったお悩みがございましたら、オンライン名刺交換ツールの資料請求や、ベンダーに問い合わせた上で導入を検討してみてください。